個人的偏見の世界史

個人的に世界の歴史をまとめる試みです。

ホモ属 サピエンス以前

B2186 21世紀より約240万年前には、華奢型人類から進化した、脳が拡大し歯が小さくなった人類ホモ属が登場する。初期のホモ属であるホモ・ハビリス(器用なヒト)は、それまでの猿人と区別して原人と呼ばれる。

B2186人類の脳の肥大化により、頭蓋骨は丸みを帯びるようになる。また、突出していた顔は小さくなり、額の真下に位置するようになる。

B2186「高価な組織仮説」は、ホモ属は肉食をするようになったことで、多量のエネルギーを消費する大きな脳を維持できるようになったと考える。逆に頑丈型猿人は、ナッツや根茎類を食べていたために脳が拡大しなかったことになる。

B2186繊維が豊富な植物性の食物を食べる割合が少なくなったことで、ホモ属は歯が小型化したものと思われる。

B2186ホモ・ハビリスは、石を打欠いて作った礫器と、その礫器を作る際に生じる破片といった石器を、日常的に用いていた。このような石器は、多く発見されたオルドヴァイ遺跡に因んでオルドワン型の石器と呼ばれる。オルドワン型の石器は単純であり、ホモ・ハビリスが主に食べていた肉は動物の死骸だったと考えられている。(以下、ハビリスと表記する)

中新2683ハビリスの成人の身長は140~180cmほどであり、体重は41~55kgほどであった。脳容量には個体差があり、550~1250mlまであった。

B2186石器で食物を刻むようになったことも、歯の使用頻度を減らし、ホモ属の歯を更に小型化させたものと考えられる。

B2186アフリカで誕生したホモ・エレクトゥス(直立するヒト)は、華奢な顔面と丸い脳頭蓋を持っていた。(以下、エレクトゥスと表記する)

B2186アフリカの21世紀より約170万年前の地層から発見されたエレクトゥスの化石は、身長は180cmあり脳容量は900mlであった。トゥルカナ湖で発見された、トゥルカナ・ボーイと名付けられた11歳ほどのエレクトゥスの男性は、165cmであった。

B2186興亡00エレクトゥスは、彼らの祖先の時代から時間をかけてオルドワン型から発展させた、石の両面が加工されたハンドアックスを用いていた。エレクトゥスは狩猟で捕獲した動物の肉もしくは屍肉の皮を石器で剥いで食料としていた。

B2186ハラ1その後、エレクトゥスはアフリカからユーラシア方面へと進出する。インドネシアのジャワ島で発見された化石はジャワ原人、中国の北京の周口店で発見された化石は北京原人と呼ばれている。

B2186アジアのエレクトゥスは、アフリカのものと比べて眼窩上隆起が大きく脳頭蓋が扁平であるという特徴がある。そのため、アフリカで存続したエレクトゥスは、ホモ・エルガスタとして区別すべきという意見もある。

B2186ジャワ原人は脳の容量が少なかった。彼らは北京原人と枝分かれしたと思われるが、起源については不明な部分が多い。また、ジャワ原人の化石には頑丈なものと華奢なものがあるなど謎がある。

B2186洞窟で暮らしていたと考えられる北京原人は、ジャワ原人と違って額がコブ状に膨らんでおり、眼窩上隆起の上に溝があるという特徴がある。彼らには死者を埋葬する習慣はなかったらしく、多くの化石にはハイエナだろうと思われる動物食獣に齧られた跡がある。

興亡00周口店の石灰岩洞窟や南アフリカトランスバールでは、原人が火を用いた痕跡が発見されている。

ハラ1イ新122興亡00人類は火を用いることで、食べる動物のタンパク質に熱を加えて構造を破壊し、消化酵素による消化を容易にした。また、小麦、米、ジャガイモなどに含まれるデンプンも加熱により可溶化するため消化しやすくなった。植物の細胞壁を構成するセルロースも結晶化して柔らかくなりにくいが、加熱により構造を変化させることができる。トリプシンやアングリコーゲンのような有毒成分も、加熱により破壊可能となった。こうして、それまで消化出来なかったものや、病原菌や寄生虫がいたものを人類は食料にすることが可能になった。

興亡00原人たちが食した動物は、ゾウ、ウマ、シカ、バイソン、マンモスなどが確認されている。狩猟により獲得した食料だと考えれば、狩猟や食料の運搬のために、組織的な共同作業が行われていたことになる。ナウマンゾウ1頭からは約2tの肉や内蔵が取れる。現生人類の成人男性の1日平均摂取カロリー(150kcal)で考えると、1500人分の必要カロリーである。

興亡00タンパク質を動物から摂取することで、原人は効率の良いカロリー摂取が可能となり、植物食動物のように日中の多くを食料摂取に費やす必要がなくなった。

B2186 21世紀より約140万年前、頑丈型猿人は絶滅した。

B2186スペインのアタプエルカ遺跡からは、21世紀から120万年前の人類の下顎骨の化石が発見された。こうして、原人か否かは不明であるが、その時点でヨーロッパには人類が進出していたことが判明した。

ハラ1人類がフローレンス島に到達したのは、海水面が低かったころであり、ジャワ島とも行き来できた。その後、海面が上昇したため、一部の人は島に取り残された。島では多くの食べ物を必要とする人が死んでいったため、小柄な人が生き残りやすかった。そのため世代を経ると、そこに住む人々は身長1m体重25kgほどの小柄になり、熱帯に適した性質を持つようになる。ジャワ島やフローレンス島に生きた人類の学名は、ホモ・ソロエンシス(ソロ川流域出身のヒト)という。以下、ソロエンシスと表記する。

ハラ1ソロエンシスは、自分たちと同じように小型化したゾウなどを狩って生活した。

ハラ1シベリアのデニソワ洞窟にも人類は生活していた。2010年に指の化石が発掘され、ホモ・デニソワと名付けられた。

イ新122食物を食べるのに必要な顎の筋肉は、火を用いることにより少なくなり、人類の頭蓋骨内の脳のスペースを拡大させることになったと考えられる。

興亡00洞窟は雨を防ぐことはできたものの、低温多湿であり体毛の薄い人類には適した環境ではなかった。しかし火を用いるようになるとそれまでよりも快適な住処となった。

ハラ1東アフリカでは、ホモ・ルドルフェンシス(ルドルフ湖出身のヒト)、ホモ・エルガステル(働くヒト)などが進化した。

B2186 21世紀より約60万年前、アフリカでは旧人と呼ばれる人類が進化した。彼らはやがてユーラシア大陸に進出する。

ハラ1ヨーロッパ北部など雪の多い地域と、東南アジアなどの暑い地域とでは、生きるために必要な特性は異なっていた。そのため、それぞれの人類は異なる進化をした。

ハラ1B2186 21世紀より約30万年前までにヨーロッパにて進化し、アジア西部まで進出した人類は、学名をホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデル谷のヒト)という。以下、ネアンデルタール人と表記する。

ハラ1B2186興亡00ネアンデルタール人は、眼窩上隆起があり、顔の正中部が前方に突出しており、頭骨が前後に長く後ろから見ると丸いという特徴があった。また、ユーラシア大陸西部の寒冷な気候で暮らすのに向いた大柄な体型であり、腕や足は長くなかった。

ハラ1ホモ族の長い腸と脳は大きくエネルギーを消費した。しかし、火を用いて消化を容易にすることで、腸が短くなり、ネアンデルタール人らは、脳をさらに巨大化させるために必要なエネルギーを得ることができた。

B2186ネアンデルタール人は、化石骨の成分分析により、かなりの肉を食べていたことが判明している。また、木製の槍や石器の槍先を使用していた。

ハラ1ネアンデルタール人には、病人や虚弱な同胞の世話を行った痕跡が見られる。

興亡00イラクシャイダー二洞窟より発見された、40代以上のネアンデルタール人男性は、その遺体の周辺から花粉が見つかっており、花とともに丁重に埋葬されたと考えられている。また、骨の状態から手足が不自由であり左目を失っていたことが判明している。このことから、ネアンデルタール人は体が不自由な仲間を見捨てなかったと理解できる。

興亡00ネアンデルタール人が居住していたのはヨーロッパおよび中近東から中央アジアであり、最大人口は50万程度であったと考えられる。